reiko-mom-arch’s blog

子育て、フィリピンの生活、旅行、デザイン、建築、作品などをつづります。

美しすぎる墓地

f:id:reiko-mom-arch:20190826071601j:image
妊娠中に散歩がてら、マニラ・アメリカン記念墓地に行ってきました。

 

BGCの高層ビルを背景に、幾何学的なランドスケープ が広がっています。入口から太い軸線を通し、左右対称に緑の緩やかな丘陵と白い十字架が無限にあるかのように広がります。中までぐるりと車で入れて、中央に緑地帯、左右に並木道、そして墓地が並びます。

f:id:reiko-mom-arch:20190826071535j:image

f:id:reiko-mom-arch:20190826081317j:image

f:id:reiko-mom-arch:20190826075008j:image

グーグルマップでみると、BGCのSM AURA裏に巨大な緑地が広がり、全てが第二次世界大戦のメモリアル墓地です。大きさは62ha、東京ドーム13個分の広さです。求心型のランドスケープデザイン で、中央に円状の広場、それを囲んで記念碑的な建物、その外側に車道が円形状に走ります。航空写真で見ると、単に幾何学的なだけにみえるのですが、実際に行くと、おそろしいほど美しい景色です。


f:id:reiko-mom-arch:20190826071517j:image

f:id:reiko-mom-arch:20190826071532j:image

均等に広がった十字架は、まるで白服を着た軍人が生きて、そこで手を広げて隊列訓練をしているかのように見えます。なだらかに凹凸のある丘。等高線状に変色している芝生。空に枝と葉をパーっと広げた木々。

 

記念碑のある中心部は、中央に円状の広場を囲んで記念碑的な建物と礼拝堂がドーナツ状にあります。列柱の建築物が囲んで求心性を強くするデザインは、バチカンのサン・ピエトロ広場に通じるものがあります。中央にはフィリピンと星条旗の国旗と巨大なマホガニーの木が立っています。
f:id:reiko-mom-arch:20190826071539j:image
f:id:reiko-mom-arch:20190826071546j:image

列柱らしきものは、放射状に置かれた、門型の大理石の壁です。入ってすぐの玄関的なスペース。空が円に切り取られ、異空間に入った気持ちになります。自然光のスポットライトに当てられて、身体が清められたような感覚でした。ここも厳かな気持ちでいること、おしゃべりしてはならないと諭されたかのような不思議な感覚です。
f:id:reiko-mom-arch:20190826071521j:image
f:id:reiko-mom-arch:20190826071854j:image

壁にはアルファベット順に兵士の名前・住所。

f:id:reiko-mom-arch:20190826191634j:image

全ての壁と壁の間には石のベンチが置かれています。つるんと下表面の白い大理石壁とは対照的に、黒い玉石の凹凸の床。列壁で間仕切られた空間のなかで、壁と風景と対峙する。美しい空間と空・緑の広がりのなかで今と過去と向き合う。その時のスケッチ↓

f:id:reiko-mom-arch:20190906095343j:image

 

窓が見当たらない礼拝堂。
f:id:reiko-mom-arch:20190826071553j:image
f:id:reiko-mom-arch:20190826071528j:imagef:id:reiko-mom-arch:20190826071543j:imagef:id:reiko-mom-arch:20190826082737j:image

 

中は小さな祈りの空間で、花束を持って立つマリア様。青い貝殻?モザイクタイル。そして左右に縦一列に敷かれた花ブロックのスリットからの灯りだけで、驚くほどに明るい。

 

アメリカン墓地、美しすぎます。BGCに来たら絶対に立ち寄った方がいい、おススメです。ただし神聖な場なので、団体でワイワイしたり、観光地に行く感覚では行ってはいけません。